社宅を離れることになった

父の仕事の関係で幼いころから何度も引越しを繰り返してきた我が家でしたが、ようやく一軒家を構えることになり、ついに長い社宅生活から脱出です。 最後に住んだのは昭和50年代に建てられたらしい築およそ30年の社宅。今までは割ときれいな一軒家の社宅に住まわせていただいていたので、

この家を初めて見た時は衝撃を受けました。浴槽がステンレス。隙間風で寒い。リビングがビニール床、そして庭が無駄に広い。 そんな家を出て、ついに住宅地図に名前が載ります!

私にとって社宅というのは決して「自分の家」ではなく、地に足がついていないようなフワフワした感覚がありました。 誰にも認めてもらっていないような、風が吹けばどこかへ飛ばされて行ってしまうような、安定感の無さを感じていたのです。

ところが社宅生活20数年、ついに本当の「自宅」ができるのです。お父さん、お母さん、ありがとう。これで将来子供ができた時に、「お母さんの育った家」と堂々と言えるよ。ただね、私、20歳超えてますから、一軒家ではそこまで育つ予定はありませんけどね。

さて、当時我が家は両親とハタチを過ぎた娘2人・息子1人の5人暮らし。数年前に進学でバラバラになったはずの家族が、なぜか全員実家暮らしに戻っているという奇跡的なタイミングでの引越しとなります。

新居は建売の新築住宅で、社宅からは自転車で5分、散歩がてら歩いて行ける距離です。 建設中もちょこちょこと覗きに行き、今日は内装工事だった、とか、注文したカーテンがすでに設置してあったとか、家が出来上がるまで家族全員ウキウキ浮かれモードの日々でした。

そして、夏の暑い盛りに新居完成。引越しの日取りも1ヶ月後に決定し、喜びも最高潮!…のはずが、なぜが日に日に気が重くなります。 引越し経験が多いだけに、その大変さは全員が身をもって体験済み。

この暑い盛りに、またあれをやらなければならないのかと思うと気が重くなってしまうわけなのです。 しかし、引越しの日は確実に近づいてきます。やらなければならないのです。

実家の引越しですから主導権は母が握っています。母によると今回の引越しは、父の会社と提携している業者さんにお願いするそうで、引越しを約1ヵ月後に控えたある夏の日、アルバイトを終えて自宅へ帰ると、きれいに折りたたまれた新品の段ボールが山のように置いてありました。

「段ボール足りなかったら早めに言ってね。追加で持ってきてもらえるみたいだから。」 はーい、と返事をしたものの、ついに準備開始か、面倒くさいな。段ボールに描かれた小さな働きアリの姿を眺めながら、思わず「はー」とため息が出たのでした。 まずは埃だらけの部屋掃除からだな。

段ボールを手に入れる

人間、嫌なことは後回しにしたくなりますよね? そうなんです、後回しにしていつも通りの生活を送ってしまったのです。そして、気が付いたら引越しまであと2週間。 さて、これから始めて何とかなるのでしょうか?
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当時学生だった私は社宅2階に6畳の自室があり、その中にはベッド、タンス、書籍の詰まったスチールラック、勉強机とテレビがある程度。ここからロフト付き5.5畳の部屋へ移ります。

引越しの1か月前に新品の段ボールが届いた段階で、少しだけやってみようかなという気になり、軽い部屋の掃除と、とりあえず取り組みやすい書籍類に着手。引越しまでに使うものは残して、あとは段ボールへ。

すると、あらすっきり!やっぱりね、これならささっと片付くな、と頭の中で適当に見積もり、時々は引越しのことを思い出しながらも、ほぼいつも通りに過ごしていました。 その結果、この段階で部屋がどうなっていたかというと、少し梱包済みの段ボールが増え、いらないものを処分した程度。基本的にはまだ十分に生活できる環境が維持されています。

このころになると家族全員が、素早く、きれいに段ボールを組み立てられるようになってきます。折りたたまれた箱を開き、底蓋をピシッと合わせ、ガムテープで張り合わせる。 ガムテープと養生テープの違いを理解し、使い分けができるようになります。

そして上面と横には引越し業者さんが読めるようにと、割と丁寧な字で「洋室 2F右」などと書いてあります。 これも「まだ2週間あるからね」という余裕がなせる業なのです。

ここで悩むのは、どこまで入れてしまっていいものか、というところです。 引越しまでまだ14日ありますから、全ての衣類をしまうわけにはいきません。しまうとしたら、まず先に2週間分のコーディネートを考え、着るもの・着ないものを選別するという面倒な作業をしなければなりません。

それなら秋冬物だけしまい、夏物は引越し直前に段ボールに詰めるほうが断然ラクです。ベッドはもちろん当日の朝まで使うためそのままにしておかなければなりませんし、学生ですから日々使う教科書類も然りです。

そうすると、ほら、なかなか無いのですよ、2週間前に詰められるものが。 この段階で段ボールへ入れられるものといったら、しばらく確実に使わない自信のあるものだけです。今のところ使わない書籍類の他には季節外れの衣料品、写真・アルバム、あってもなくても困らないけれど捨てるほどではないもの、このくらいでしょうか。

結局普段の生活に支障をきたさずに引越し2週間前にできることは、現段階での不用品を段ボールにしまうことと、いらないモノを捨てることくらいになってしまうのです。 やれることがあまりないのに、ソワソワしながら過ごす忍耐の日々です。

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